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【NEWS】英中銀、金融行動監視機構とステーブルコイン規制計画案を発表

里見 晃
2023/11/07

ステーブルコイン決済を認める方針

BoE(イングランド中央銀行)は6日、ステーブルコインを規制するあらたな計画を発表した。BoEとFCA(英金融行動監視機構)による今回の提案は、英政府が先週発表した暗号資産(仮想通貨)業界を監督するための計画に続くものとなる。

BoEとFCAは法定通貨に連動するよう設計されたステーブルコインを、商品やサービスの決済に使えるよう実態経済に導入する提案した。

提案によると、BoEはステーブルコインを発行する事業体を直接的に監督する責任を担う。デジタルトークンを使用した決済システムがBoEに全額裏付けられることも求めている。ステーブルコインの発行者については、償還の管理についての説明も求められている。

英国では現在、EU(欧州連合)から離脱したことにより、世界有数の金融センターであるロンドンの地位が揺らぐ懸念が高まっている。今回の提案は、デジタル資産のハブとしての地位をあらたに確立させようとする英国の取り組みにおける最新のステップとなることが期待されている。

先週、英財務省は暗号資産規制の未来に関する協議に対する回答を発表した。そのなかでは、ステーブルコインは従来の決済サービスプロバイダー向けの既存のルールに基づき規制されることが記されていた。あわせて、財務省の提案ではFTXの破綻を含む暗号資産業界の懸念に基づくものであると添えられている。

FCAの消費者・競争担当エグゼクティブ・ディレクターのシェルドン・ミルズ(Sheldon Mills)氏は「ステーブルコインは、すべての人にとってより早く安全に決済を行うことができる可能性がある。だからこそ、企業がこのイノベーションを安全かつ確実に利用できるようにしたいと考えているの」と述べた。

BoE金融安定担当副総裁であるサラ・ブリーデン(Sarah Breeden)氏も、ステーブルコインは英国における「デジタル小売決済を強化する」ことが可能になると付け加えた。


海外発行のステーブルコインも許可する可能性


ステーブルコインの価格を巡っては法定通貨の価格から乖離するディペックが生じることが度々ある。昨年5月、米ドル価格に連動したアルゴリズム型ステーブルコイン・テラUSDがディペックし暴落したことはまだ記憶にあたらしい。これにより暗号資産市場では混乱が生じ、後の市場低迷にもつながった。

提案では、既存のステーブルコインは主に小売決済ではなく、暗号資産決済に使用されているため、現時点でBoEの提案した制度に基づく監督基準を満たすものはないと説明している。

しかし、ビジネスが急速に成長する場合、あるいはすでに大規模な顧客決済基盤を持つ既存の大企業とステーブルコインが提携した際には、この状況は急速に変化する可能性がある。たとえばApple StoreやGoogle Pray等で採用された場合、大きな変化が生じることが考えられる。

今回の提案では、海外のステーブルコインによる英国での決済を許可する可能性も検討されている。財務省の見解では、決済手配者は英国の既存決済サービス規制に基づいて認可された業務体となり、海外のステーブルコインが英国で使用できるかどうか許可される前にFCAの承認が必要となるという。

BoEは提案のなかで、海外のステーブルコインを経済に適応させるという財務省の提案は「利点だけでなく欠点がある可能性がある」とも指摘している。

参考:BoE発表
画像:Shutterstock


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