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【NEWS】暗号資産時価総額、前四半期から8.6%減少 バイナンスがレポート発表

里見 晃
2023/10/22

2023年の第3四半期は暗号資産(仮想通貨)領域にとって困難な状況が続いていたことがわかった。19日、大手暗号資産取引所バイナンス(Binance)のリサーチ部門であるバイナンス・リサーチが分析結果をまとめたレポート「第3四半期の暗号資産の現状:Market Pulse」を公表した。

レポートによると、暗号資産の時価総額は前四半期比で8.6%減少したという。この期間、米リップル(Ripple)社及びグレースケール(Grayscale)社がSEC(米証券取引委員会)と係争していた裁判で実質的に勝訴するなど暗号資産業界に朗報をもたらしたが、市場の活気は戻り切っていなかったことが明らかになった格好だ。

発表されたレポートはバイナンス・リサーチが主要なチャートと洞察をまとめたもので、暗号資産の現状に焦点を当てている。ただし、暗号資産業界は四半期ごとに常に状況が変化しており、特定の時期のみ分析をすると短期的な傾向は明らかにはなるが、全体的な傾向をみることはできないとして注意を促している。今はまさに「不確実性」の状態にあるという。

時価総額こそ減少したが、たとえば暗号資産NEARは月平均のトランザクションが前四半期から120%の成長を記録したこと、ビットコイン現物ETFが承認間近である期待、規制に関する前向きな報道、ドイツ銀行やソニー、ペイパルなど大手企業がWeb3.0領域への進出を発表するなど、価格下落の最中でも大手企業がWeb3.0へ参入する事例が急増しているとレポートでは述べている。

ハイライトの1つに、Web3.0プロジェクトへの投資がある。レポートによると、フラッシュボッツ(Flashbots)へ6,000万ドル(約90億円)のシリーズB資金調達、コア・サイエンスティック(Core Scientific)に対し5,400万ドル(約80億円)の戦略的投資を行うなど、大口出資の事例がみられたという。

さらに、「ゲームとメタバースも強い関心を集めており、フューチャーバース(Futureverse)がAI中心のコンシューマーゲーム開発のために5,400万ドルの資金を獲得した」と付け加え、アニモカ・ブランズ(Animoca Brands)がモカバース(Mocaverse)プロジェクトに2,000万ドル(約30億円)を調達したことも加えている。ベンチャーキャピタルのWeb3.0領域への投資は活発に行われているようだ。

今回の四半期で順調に推移しているセクターとして、イーサリアム(ETH)のステーキングをあげている。レポートではETHの20%が現在ステーキングされているとし、その増加の大半はライド・ファイナンス(Lido Finance)の功績であるという。

ライド・ファイナンスは2020年にリリースされたDeFiの流動性プロトコル。リキッドステーキングというサービスを提供し、ETHを預けると1:1の比率でLido Staked ETH(stETH)が発行される。Lidoからステーキング報酬を獲得しながらstETHをCurve Financeなど別のDEXに預けることで運用効率を向上させることができる仕組みとなっている。

また、レポートでは業界全体でハッキング被害が増加し、第3四半期は被害が最も多かったとしている。あわせて、NFTも取引量が減少したと報告した。ブロックチェーンゲームは現在、BNBチェーンが最も多く使われており、イーサリアムとポリゴンがその後に続くと説明している。

ただし、GameFiの可能性はまだ最大限に発揮されていないと指摘する。現在ブロックチェーンゲームで稼働しているのは全体の28%のみで、プロジェクトのほとんどはα段階かβ段階にあるという。そのため、ブロックチェーンプロジェクトの稼働率が上昇すれば、暗号資産領域の市場規模は広がる可能性があるとした。なかでも、Move to Earnがカテゴリとしてい注目度を集めているとも指摘している。

さらに、ゲーム関連銘柄の時価総額上位5つのうち、ザ・サンドボックス(SAND)、ディセントラランド(MANA)、エイプコイン(APE)はメタバースに関連したものだと言及。こうしたことから、今後メタバース関連のゲームにも注目が集まる可能性を指摘した。

参考:レポート
画像:Shutterstock

里見 晃