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【NEWS】シンガポール金融管理局、新法案で暗号資産に対する権限拡大へ

里見 晃
2024/01/21

法案可決で暗号資産関連企業にも影響

MAS(シンガポール金融管理局)の権限拡大を含むFIMA法案(諸改正金融機関法案2024)が、議会に提出された。改訂された法案が可決された場合、暗号資産(仮想通貨)関連企業に大きな影響が及ぶものとみられる。

FIMA法案の規定は「規制されていないビジネスを行うCMSL(資本市場サービスライセンス)保有者に指示を与えるMASの権限を拡大すること」と記されている。

法案では、CMSL保有者は規制対象の活動にリスクをもたらす可能性のある未規制の商品を提供できるようになると言及。こうした未規制の商品に関する項目では、「ビットコイン先物商品及び海外取引所で取引されるそのほかのトークンデリバティブ」などが対象としてあげられている。

MASはすでに個人投資家と規制のないビジネスを行うためのリスク軽減策に関するガイダンスを発行しているが、今後さらにその権限が拡大される。具体的には、FIMA法案によりMASはCMSL保有者とその代表者が規制下にない事業を行う際、講じるべき最低基準と保護措置について書面で指示を出すことができるようになる。


すでにステーブルコイン規制など進める


MASは昨年11月、暗号資産への投機を阻止するためのさまざまな措置を講じた。

また、8月にはステーブルコインに関する規制枠組みも改正され、米サークル(Circle)社とリップル(Ripple)社がMPIライセンスを取得。ライセンス保有者は十数社となっている。さらに、パクソス(Paxos)は11月に米ドルに連動したステーブルコインの発行を承認され、MASもDeFi等の活用を進める「プロジェクト・ガーディアン」を通じてトークン化を積極的に検討している。

法案のほかの条項では、MASが個人に対して事情聴取を目的に出頭させることができ、書面でも陳述を強制できるようになる。これにより、MASは令状がなくとも敷地内に立ち入ることができ、証拠を押収する裁判所令状を得ることが可能になるという。また、シンガポールの金融機関を監査するために外国規制当局によって指名された代理人を承認することも可能となる。

この法案は、暗号資産に特化した措置に加えて、より広範な規制権限を提案している。暗号資産関の措置については、一昨年より特に顕著であった暗号資産関連企業の相次ぐ破綻と、ステーブルコイン等を手がけていたテラフォームラボ(Terraform Labs)によるプロジェクトの失敗が背景にあるものとみられている。

そのため、シンガポールではかねてより顧客保護の観点で暗号資産に関する規制が検討されていた。

参考:法案
画像:Shutterstock


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