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ジェミナイとジェネシスの画像
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【NEWS】ニューヨーク州司法長官、ジェミナイらを投資家詐欺の疑いで提訴

里見 晃
2023/10/21

ニューヨーク州のレティシア・ジェームス(Letitia James)司法長官は19日、暗号資産(仮想通貨)取引所を営むジェミナイ(Gemini)、暗号資産コングロマリット企業DCG(Digital Currency Group)及びDCGの子会社である暗号資産融資企業ジェネシス・グローバル・キャピタル(Genesis Global Capital)を提訴した。

2万9,000人のニューヨーカーなど総勢23万人の投資家に対し詐欺行為を行ったと主張している。被害総額は10億ドル(約1,500億円)以上だという。

OAG(ニューヨーク州司法長官局)の調査によると、ジェミナイがジェネシスと共同で運営していた投資サービス「ジェミナイ・アーン」について投資家を欺いていたことが判明したとしている。

ジェミナイはジェネシスの財務状況が危険な状態にあることを認知していたにも関わらず事実を隠蔽し、ジェミナイ・アーンを通じた投資は低リスクであると繰り返し保証していたという。

訴状によると、ジェミナイはジェネシスの融資が担保不足に陥っていたことも既知していたと指摘する。ジェミナイ・アーンのサービス開始から1年が経った昨年2月にはジェネシスの信用格付けをBBB(投資適格範疇)からCCC(ジャンク債)に修正していたが、これらの情報について投資家に公的には明らかにせず、ジェミナイ・アーンは低リスクの投資商品であると標榜し続けていたとという。

ジェネシスが担保不足に陥った原因として、サム・バンクマン=フリード(Sam Bankman-Fried)被告が率いて破綻した暗号資産取引所FTXの関連企業であるアラメダ・リサーチ(Arameda Research)に対して投資を一局集中していたことがあげられる。

しかし、これについても投資家に隠蔽していたとしている。アラメダ・リサーチはジェネシスから第三者への貸付金のうち約60%を融資して貰っていた。

この訴訟ではさらに、ジェネシスの元CEOであるソウイチロウ・モロ(Soichiro Moro)氏と親会社DCGのCEOバリー・シルバート(Barry Silbert)氏を、情報を隠蔽し11億ドル(約1,650億円)以上の損失を与え投資家と一般人を欺いた罪で告訴した。誤解を招くような言動や欺瞞の結果、数千人もの投資家が数百万ドルを失い、場合によっては救命金をも失ったという。

訴状によるとジェネシスは借り主の3AC(スリー・アローズ・キャピタル)に適切な監査をしなかったという。さらにジェネシスは融資先の財務諸表を定期的に調査しているとジェミナイに虚偽を働いた。

OAGはジェネシスが3ACから監査済みの財務諸表を2年以上受け取っていないことを掴んだ。さらにジェネシス、DCGとその幹部役員がジェネシスの財務状況を投資家や一般人に隠蔽したことも判明したという。

損失を隠蔽するためDCGとジェネシスは11億ドルの約束手形を締結。DCGは1%の金利で10年間に渡り11億ドルを貸し付けることに同意した。しかしこの約束手形は、ジェミナイ・アーンのユーザーにジェネシスの財務状況と事業運営状況が危機的であることを隠蔽したものであったとしている。

この訴訟を通じてジェームズ司法長官は、「ジェミナイ、DCG、ジェネシスをニューヨークの金融業界から締め出し、投資家への賠償と不正に得た利益を剥奪する」としている。 

参考:発表
画像:Shutterstock

里見 晃