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【NEWS】自称「サトシ・ナカモト」に異議 ビットコイン初期の共同研究者が証拠の交換メールを公開

里見 晃
2024/02/26

サトシ・ナカモトのの正体を巡り異議

暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の生みの親「サトシ・ナカモト」を長年にわたって自称するコンピューター科学者のクレイグ・ライト(Craig Wright)氏の真偽を巡る裁判で、初期の共同研究者が証人として出廷し、異議を唱え証拠としてサトシ・ナカモトとの交換メールを公開した。

ビットコインを開発したとされるサトシ・ナカモトは素性が知られておらず、いまだ正体不明の謎の人物である。

少人数の共同研究者に協力を得て、電子マネーシステムという構想であるビットコインを開発した。その初期の共同研究者たちが、ロンドンで法廷の証人席に立った。共同研究者らはライト氏について「詐欺師」と証言している。

オーストラリアのコンピューター科学者であるクレイグ・ライト氏は「自分こそがサトシ・ナカモトである」と2016年から主張している。ライト氏はビットコインに対する知的財産権の取得を目指し、開発者たちに対する訴訟を繰り返し起こすなど、自身の主張を繰り広げてきた。

この裁判は英国の高等法院で2月初旬に始まった。目的はビットコインの生みの親と主張するライト氏に異議を唱えることだ。

訴訟を起こしたのは暗号資産に関するテクノロジー企業による非営利コンソーシアム「Cryptocurrency Open Patent Alliance(COPA)」で、「ライト氏はサトシではない」という判決を裁判所に求めている。COPAの要求が認められれば、この主張に対してライト氏があらたな訴訟を起こす権限は制限されることになる。

COPAは「ライト氏は証拠を捏造し、矛盾がみつかるたびに何度も話を変えている」と述べている。それを証明する目的で、初期の共同開発者たちに協力を求めた。


複数の矛盾を指摘

今回の証言者は、アダム・バック氏、マイク・ハーン氏、マルティ・マルミ氏、ズーコ・ウィルコックス=オハーン氏で、ライト氏の主張に異議を唱えた。全員がそれぞれ、ビットコインの初期開発に携わった人物だ。

マルミ氏は法定で、証拠としてサトシ氏との交換メールを公開。法廷で「ライト氏とは別人と思われるサトシ氏と連絡を取っていた」と主張した。またマルミ氏は、フィンランド人プログラマーが最初にサトシ氏にアプローチした時のライト氏のタイムラインに異議を唱え、ダークウェブマーケットプレイス「シルクロード」の共同設立者についてのライト氏の知識と矛盾していると訴えた。

またバック氏は承認陳述のなかで、「Bマネー」についてナカモト氏に説明した2009年の証拠を提出し、この概念に影響を受けたというライト氏の主張は矛盾していると述べた。Bマネーは1998年にコンピューター科学者のウェイ・ダイ氏により提案された分散型トークンの提案だ。

COPAは声明で「ライト氏は英国で複数の訴訟に関与しているが、これらの訴訟はライト氏の主張が真実であることに基づいており、暗号資産コミュニティの複数の組織や個人がビットコインのホワイトペーパー、ビットコインデータベース、その他の知的財産関連の著作権を侵害していると主張している。この主張はビットコインの開発を停止させ、訴訟の脅威で開発者たちを萎縮、沈黙させ、オープンソースコミュニティの精神全体に危害を及ぼすものだ」と述べた。

参考:メール資料
画像:Shutterstock


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