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【NEWS】韓国中銀総裁、CBDC導入の緊急性を強調 ステーブルコインの普及に懸念示す

Shogo Kurobe
2023/12/17

CBDCの早期導入を検討か

韓国の中央銀行である韓国銀行の李昌永(リ・チャンヨン)総裁は15日、デジタル通貨に関する会議のなかで、CBDC(中央銀行デジタル通貨)の導入は差し迫った緊急性の高い課題であると強調した。同日、聯合ニュースが報じた。

李総裁は「デジタル化は否定できないトレンドだ」とした上で、世界の中央銀行は急速に変化する金融情勢に対応する準備を整えるべきだと主張した。

加えて、李総裁は世界的に普及が進むステーブルコインに言及。テザー(USDT)やUSDコイン(USDC)といったステーブルコインの普及について、「中央銀行の業務にあらたな課題を突きつけている」と述べた。

さらに、ステーブルコインが普及することで「法定通貨の役割を低下させ、金融政策の有効性を損なう可能性がある」と指摘するなど、懸念を示した格好だ。

李総裁が特に懸念している点は、ステーブルコインの安定性だ。同氏はステーブルコインという名前が付いているにもかかわらず、裏付け資産とは反する動きをみせる面や、時として不安定な情勢を迎えるなどの安定性の欠如が金融及び中央銀行の課題になるとしている。

こうした状況から、リテール型やホールセール型を問わず、CBDCの導入を検討する緊急性があると李総裁は述べている。


2024年に大規模なCBDCの試験を計画


韓国では先月、2024年中にもCBDCのパイロット版を同国の人口の0.2%にあたる10万人を対象に発行すると発表した。パイロット版CBDCは指定された支払いでのみ使用可能で、個人送金などそのほかの用途では使用することができない。

この取り組みでは、あわせてCBDCの発行と流通の実現可能性、有効性を評価するための技術的な実験も行われる予定だ。一例として、炭素排出権と決済トークンにおける送金、取引の実現可能性に関する実証実験を予定しているという。

15日の会議でも李総裁は、韓国銀行が現在ホールセール型CBDCとトークン化された銀行預金との統合に焦点を当て実証実験を行なっていると言及した。その上で、銀行等によるデジタル通貨の発行を検討する「第2のCBDCパイロットプロジェクト」に取り組んでいると明かした。

その一方で、現状では金融機関以外の参加や適切な規制整備など、未解決の課題もあると指摘している。

参考:報道
画像:Shutterstock


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Shogo Kurobe