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【NEWS】香港がCBDC「e-HKD」試験運用のフェーズ2を開始

里見 晃
2024/03/27

CBDCの取り組みで進展

香港の中央銀行にあたるHKMA(香港金融管理局)は、香港のCBDC(中央銀行デジタル通貨)「e-HKD」がパイロット版におけるフェーズ2に入ったことを発表した。

2023年10月に終了したフェーズ1からあらたなユースケースを模索し、「厳選されたパイロット版の運用」を掘り下げていくという。特に公共利用のためのCBDCの革新的な用途を模索すると説明している。

フェーズ1では6つのユースケースがテストされた。利用シナリオとしては「プログラム可能な支払い」「トークン化された資産の決済」「オンライン支払い」「店舗やレストランでの支払い」「政府からの支払いの徴収」「トークン化された預金」「Web3.0の取引と清算」などであった。

フェーズ2についてHKMAは「フェーズ1の成功と経験を踏まえ、次のフェーズでは、e-HKDが独自の価値、プログラマビリティ、トークン化、アトミック決済(当事者同士の直接即時決済)を追加できる箇所をさらに深く掘り下げることになる」と声明で述べた。これは一般の人々が買い物、送金等に使用できるリテール型CBDCの導入に向けたステップとなる。

また、フェーズ2はあらたなホールセール型CBDCプロジェクトである「プロジェクト・アンサンブル(Project Ensemble)」によってもサポートされ、「強化されたe-HKDサンドボックスが構築されることになる」と述べた。プロジェクト・アンサンブルはCBDCの大規模展開のためのエコシステムに焦点をあてている。

一連の計画では「パイロット版参加者によるユースケースのプロトタイピング、開発、テストを加速するとともに、e-HKDとほかの形式のトークン化されたマネーとの相互運用性と銀行間決済の研究を促進する」ろHKMAは付け加えた。

HKMAによると、e-HKDのパイロット版の運用は2025年半ばまで続く予定だ。フェーズ2の試験運用への参加に関心のある組織からの申請については、5月17日まで受け付けるという。


引き続き最大手銀行は参加

これまでにアリペイ(Alipay)、中国銀行、HSBC、ハンセン銀行、中国建設銀行など、多くの大手金融機関や決済会社がフェーズ1に参加していたが、今回は加えて一般民間企業も参加するとみられる。なお、香港最大の銀行であるHSBCは引き続きフェーズ2に参加することを表明している。

HKMAは2017年にCBDCの研究を開始。2021年にはホールセール型とリテール型の両方で本格的なe-HKDの研究に取り組んでいる。

参考:発表
画像:Shutterstock


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