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SBINFT高様
NFT
Web3.0

SBINFT株式会社 高長徳 独占インタビュー 高度に体系化されたSBIブランドで、日本市場を牽引する

八木 紀彰
2024/01/29

高度に体系化されたSBIブランドで
日本市場を牽引し、虎視眈々と海外トップ睨む

——改めて現在のSBINFT株式会社の事業内容をお聞かせください。

高長徳(以下、高)::大きく2つの事業があります。まず1つ目が、NFTマーケットプレイスの運営です。2021年にNFTマーケットプレイスとして「nanakusa(ナナクサ)」をリリースしたのですが、同年9月にSBIグループに参画し、「SBINFT Market」にサービス名称を変更しました。

もう1つは、「SBINFT Mits」というNFTプロジェクトの総合支援サービスです。昨年7月にCoinPostさんが主催したイベント「WebX」で大々的に発表させていただいたあたらしいサービスです。

2021年にNFTマーケットプレイスをリリースした辺りから、ゲーム業界だけではなく一般企業からもNFT使った事業をしたいとか、自社のロイヤルユーザーにNFTを使ったあたらしい体験を届けたいといった相談がたくさんきました。

しかし、我々を含め、多くの事業者はまだまだ一般化していないブロックチェーンや、暗号資産を少し警戒しているような一般層に向けて、うまくNFTを活用することができていなかったところがありました。

このような課題を解決するために、SBINFTのノウハウを体系化してリリースしたのがSBINFT Mitsというサービスです。 こちらの事業は、NFTを活用する上で必要となるさまざまな機能を初心者でも利用しやすいWebサービスの形で提供しています。

ブロックチ ェーンやスマートコントラクトの知識、技術というものがなくても、NFTを使いユーザーと直接つながるコミュニティを作って、スタンプラリーや投票といったイベントの実施やNFTを保有する人だけがサービスを利用できるようなWebペ ージを制作することができます。

——国内でも著名なNFTプロジェクトもパートナーとして参画されていますよね。

高:そうです。参画いただいたパートナーは、NFTを活用したあらたなマーケティングプラットフォームとしての価値に魅力を感じてくれたのではないかと考えています。結局、プロジェクトも流行り始める時というのは、運営のチーム以外にもオピニオンリーダーの存在が必ず必要になってくると思います。

SBINFT Mitsは、一般企業の商品に対して、KOL(キーオピニオンリーダー)の方々を育成し、獲得していく施策をサポートします。そして、その企業がNFTを活用してオピニオンリーダーの方々に何らかの報酬を与えながら、自社であらたなオピニオンリーダー、ロイヤルユーザーを作っていく。

このような仕組みを循環させるような、NFTを活用したマーケティングを実現できるという点がSBINFT Mitsの特徴でもあります。


既存の仕組みとは全く違った世界観
NFTは次のインターネット革命のきっかけとなりうる

——高さんの現在に至るまでの経歴をお聞かせください。

高::社会人歴は長くて、もう24年以上になります。現在主流になっているようなWebの開発言語がまだない時代にエンジニアとしてC言語やPHPを扱っていました。

現在はサービスが終了してしまいましたが、世界からも注目されたドコモのサービス「iモード」が立ち上がった頃、iモードを使用する公式サイトの開発やディレクションもやっていました。

その後はGMOやYahoo!など、大きなポータル系のサービスサイトの会社でSNS周りのサービスにも携わりましたし、ゲームプラットフォームの運営・統括を担当して、そこからソーシャルゲームの方に移り、スマートフォンゲームのプロデューサーをしました。

インターネットにおける最初の創世記にエンジニアとして働けた経験は、現在も仕事をする上で糧となっています。

IT革命には大きな波が3つぐらいあると思っていて、Web3.0はその3番目の波だと思っています。1つは常時接続のインターネット、2つ目はSNS。そして3つ目が今回のWeb3.0かなと。僕のキャリアではこれらすべての領域に身を置くことができましたし、より強くWeb3.0の可能性を感じています。

——エンジニアやゲームのプロデューサーというキャリアを経て現在の会社を立ち上げたのですか?

高:2015年、モブキャストに勤めていた時の僕の上司が、SBINFTの前身であるスマートアプリという会社を立ち上げました。

当時の僕は、モブキャストを出た後に自分で会社を設立し、今とは別の会社を経営していました。その会社ではスマートアプリの創業者である佐藤崇氏とともに開発の手伝いなどを行っていました。

2018年に彼が「ブロックチェーンに参入する」というタイミングで声をかけていただき、僕自身もいわゆるIT革命という大きな3つ目の波がブロックチェーンだろうという直感を持っていました。その時に合流する形で前身であるスマートアプリに入社しました。その翌年の2019年に僕が社長に就任し、現在に至ります。

——NFTに興味を持ったきっかけはなんですか?

高::僕が2018年にブロックチェーン業界に入ったタイミングで、「My Crypto Heroes(マイクリプトヒーローズ)」というゲームをモブキャストの同僚が作った会社でもあるdouble jump.tokyoが運営していました。

彼らがNFTを活用してゲームを構築するブロックチェーンゲームに挑戦するということを知り、その時に僕はゲーム領域のみならず、情報技術の観点からしても革命だなと思いました。今までのデジタルのなかではなかなか実現が難しい世界を、ブロックチェーンを使うことで証明できるというところに衝撃を受けたことは記憶にあたらしいです。

——もともとゲームの開発も含めさまざまなことに携わっていた経験から、NFTを活用したあたらしいデジタルデータの存在証明に衝撃を受けたということですね。

高:もっというと、従来はアプリケーションの上にデジタルコンテンツが存在していました。それがNFTの出現により、いわゆるブロックチェーンのチェーン層の上にNFTの技術があり、さらにこの上にアプリケーションを持ってくるという既存の仕組みとは違った世界ができたんですね。

これが僕のなかではかなりの衝撃で、僕がNFTに張ると決めた最も大きな要因です。必ずこれが次のインターネット革命のきっかけになると感じたんです。


SBINFT MitsでロイヤルユーザーとKOLを創出
マーケットプレイスと両輪で相乗効果を——

——先ほどお話があったように、総合NFT運営支援サービスとして「SBINFT Mits」を発表されました。「NFTでできること、Mitsでひとつに」というキャッチコピーのもと展開されていますが、SBINFTのマーケットプレイスと「Mits」にはどのような役割がそれぞれあるのでしょうか?

高:SBINFT Mitsはあらたなロイヤルユーザー、KOLを作るためのマーケティングプラットフォームであるというお話しを先ほどしましたが、例を交えてさらに説明したいと思います。

たとえば「とある商品を売り込んでください」と企業がNFTをインセンティブとしてキャンペーンを行ったとしましょう。キャンペーンの成果が上がった時に、キャンペーンの成果により多く貢献した人ほど何らかの報酬を得ることができるよう、貢献者の貢献度にあわせてプレゼントするNFTを変えます。

そのNFTは何かの記念でも、ユーティリティ性のあるものでも良いですね。このように貢献すればするほど、企業とインフルエンサーや、KOLとのコミュニケーションが密になっていく。一連の流れでユーザーとコミュニ ケーションをしながらNFTを活用するツールとしての機能を果たすのがSBINFT Mitsです。

マーケットプレイスは基本的にNFTの二次流通の場となりますので、先にあげたNFTを販売するとか、販売されたものを買うとか、ユーティリティ性のあるものを誰もが売買できるプラットフォームとしてSBINFT Mitsと相乗効果を発揮します。

ゲーム会社を中心に、マーケットプレイスにはたくさんのパートナーさんがいらっしゃいますので、コラボしたSBINFT Mitsのあたらしい企画など、クロス的にマーケティングプロモーションができます。このように、マーケットプレイスとプラットフォームの2つを運営していることがSBINFTの強みになるかなと思います。

——NFTの役割は時代にあわせて変化しているように思います。2024年以降、NFTの役割として考えられることはなんでしょうか?

高:少し前にRWA(リアルワールドアセット)やデジタルツインといったワードが出てきましたけれども、僕自身もまずは実物と紐付いたモノの需要が高まるのではないかと注目しています。

たとえばスニーカーのNFTを買ったら、NFTを持っている人に実物のスニーカーが送られてくるといった体験でも良いですよね。

いわゆる、有用性のあるものにユーティリティが付随しているような、権利自体を二次流通で売買できて、なおかつNFTが現物と紐づいている世界。それがまず1つ大きな可能性を秘めた分野なのかなと考えています。

——今後、SBINFT Mits、もしくはマーケットプレイスを含めて、先にお話いただいた有用性のあるNFTにサービス展開していく可能性は大いにありますか?

高:そうですね。これは市場にわかりやすさを伝 えるためにも、そうあるべきかなと思っています。 あとは、企業がどんなプロダクトや商品、サービスやっているかによって、上手につなげるお手 伝いを我々がサポートすることになると思います。


「SBINFT Mits」で目指すNFTが当たり前の社会

—10年後のNFTを活用した体験やビジネスはどのような形になっていると考えますか?

高:10年後となるとなかなか難しいですが、1つはペーパーレス、いわゆるDXによってデジタル化されたように、すべてのデータがブロックチェーン上、もしくは関連したテクノロジーで管理されている未来になっているのではないかと思います。

たとえばDID(Decentralized Identity)の活用だったり、不動産等の権利証明書にブロックチェーンが活用されているかもしれません。特に重要なデータはすべてデジタル化して、自分のアイデンティティとしてデジタル上で保管する世界になるのではないかと考えています。

その頃はもうNFTという言葉もインターネットと同じように実生活に根付いたテクノロジーとして受け入れられる言葉になっているかもしれませんね。

——NFTというネーミングはどこか取っ付きに くい部分もあるかと思います。NFT のマスアダプ ションは、何をきっかけにして起こると思いますか?

高:ここは僕の持論になってしまうのですが、もうNFTでいくしかないのかなと(笑)。インターネットの話をしましたけれど、ITという言葉も、最初は取っ付きにくかったと思うんです。一方、ITは何の略なのか知らない人でもイメージが付く人がほとんどだと思います。

なので、NFTも同じように「何の仕事やってるの?」という問いに対して、「NFT系」と使われるくらい浸透していったら嬉しいですよね。

——今後の展望をお聞かせください。

高:直近ですと、SBINFT Mitsがあたらしいマーケティングプラットフォームとして世の中にインパクトを与える年にしたいなと思っています。「NFTを活用したマーケティングってこういうことか!」というところを知っていただきたいですね。

また、SBIグループ全体が金融の大きなコングロマリット企業体であり、なおかつプラットフォーマーとなっているなかで、「ユーザーを持ってサービスを提供する」という事業モデルになっています。ですので、我々自身もぶれることなく、NFTに特化したプラットフォーマーとして存在感を示していきたいと思います。


「NFTでできること、Mitsでひとつに」

テクノロジーの進化はとどまることを知らず、企業やブランドはあらたな価値を創出するため、ブロックチェーンやNFTといったあたらしい技術を取り入れた、ビジネスモデルやマーケティング手法を探求し始めている。

一方で、このようなあたらしいテクノロジーにまつわる事業への新規参画やツールの導入などはまだハードルが高く、NFTプロジェクトの成功には多種多様なツールの活用が必要となるため、専門事業者以外が取り組むのが容易ではない。

SBINFTは、NFTを社会に広げることをミッションに、NFT事業へ新規に参入する事業者やNFTプロジェクトを運営する皆さまが抱える課題を解決すべく、NFTプロジェクトの総合支援サービス「SBINFT Mits」をリリース。

SBINFT Mitsを通じて、より多くの方がNFTをあたりまえに利用できる社会の実現を目指す。



SBINFT Market

SBINFT Mits


Profile

高長徳(Jangdeok Ko)
SBINFT株式会社 代表取締役社長
2000年のインターネット黎明期よりSierやコンテンツ事業者経験の後、GMOメディア、Yahoo!JAPAN、ドリコムやモブキャストなどでゲームプロデューサーやプラットフォーム事業責任者を歴任。2021年に日本初のパブリックチェーンによる統合型NFTマーケットプレイス「nanakusa」をリリース。同年9月、SBIホールディングスの連結子会社となりSBINFT株式会社代表取締役に就任。2022年nanakusaをリブランディングした「SBINFT Market」、2023年には「SBINFT Mits」というNFTプロジェクトの総合支援サービスをリリース。



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