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Web3.0秋田特集
Web3.0
NFT
メタバース

「Web3.0×秋田」喫緊の課題解消に向けた施策として“秋田犬”等のIPとWeb3.0の融合を図る

Iolite 編集部
2023/12/07

人口減少や少子高齢化など地方のハンデをプラスに変える秋田県のあらたな試み

Web3.0・NFT の技術が活用された自治体・地域による「地方創生町おこし」は2022年よりさまざまな形で増えてきているが、秋田県も地域独自の取り組みを行っている地方自治体の1つだ。


高齢化率、人口減少率、ともに全国1位

秋田県は高齢化率が3年連続で全国1位、人口減少率が9年連続で全国1位というデータにもある通り、人口減少と少子高齢化が長年の大きな問題となっている。

国立社会保障・人口問題研究所の推計(平成25年3月:中位推計)によれば、今後、秋田県の人口は2040年には70万人を切るものと予測されており、人口減少がこのまま進行した場合、県経済の規模縮小や労働力人口の減少、担い手不足による地域活力の低下などが予想される。

このような問題は雇用の創出や産業の活性化とも密接に関係しており、秋田県ではこうした問題に長年苦慮してきた。特に人口減少と少子高齢化の動きが早く、若者の県内定着や少子化対策など直接歯止めをかける取り組みを展開するほか、今後の人口減少社会においても住民サービスを維持できるあらたな社会システムを構築するとともに、確かな産業経済基盤を確立することが求められている。

そのため、生産性の向上や県内消費の拡大などにより、産業経済の規模や雇用の維持・拡大を図り、所得水準の向上につなげていくことが大切であり、秋田の将来を担う人材の育成、地域コミュニティの活性化等を重点的に推進していく必要があるとしている。


Web3.0は秋田における地方創生に向けた施策に

秋田県ではこうした問題に対して、若者の定着促進や子育て支援などに取り組んでいるほか、Web3.0事業も地方創生の施策の1つとなっている。

秋田県は国内最大の消費地である首都圏から地理的に距離が遠いため、最終消費者へアクセスという点でこれまでハンディを負ってきた。

さらに産業構造の変化やグローバル化など、あらたな社会経済環境に柔軟に対応するためには、実践的な知識や技能の習得はもとより、幅広い視野や豊かな教養が必要であり、今後、秋田県の産業を支え秋田の未来を担う優れた人材の育成が課題となっていた。Web3.0事業がこのような課題を解決する施策として期待されている。

地理的制約を受けにくいテクノロジーを活用すれば、世界中のファンから瞬時に資金を集めることも可能であり、自治体が誇る魅力ある地域資源を軸に、世界中のコミュニティに直接アプローチすることで、インバウンド需要を喚起しながらグローバルな関係人口の創出も夢ではない。

そのため、秋田県では積極的にWeb3.0事業に取り組んでいる。その中心になっているともいえる企業が株式会社Meta Akitaだ。


“秋田犬”を活用した取り組み

Meta Akita は「Web3.0×秋田犬」をコンセプトに秋田犬を活用した地方創生に取り組んでいる公益社団法人秋田犬保存会のスピンオフ企業で、世界中の人が楽しめる「世界最大の犬メタバース」の構築やユーティリティの質・量を価値源泉とするNFT/SBT の企画、秋田犬の世界的イベントやデジタル秋田犬展覧会、あらたな秋田犬経済圏の構築、多角的な秋田犬事業を開発中だ。2022年11月に秋田犬NFTを限定発売し、即日完売させている。

すでに具体的なユーテリティとして、このNFT の保有者は秋田犬保存会博物館に無料で入場できるほか、将来的にはメタバース「Meta Akita」へのパスポートになるとともに、今後予定されているさまざまなサービスを楽しめるようになるとしている。

2023年1月には秋田県初のふるさと納税NFT返礼品を発表。秋田県大館市のふるさと納税返礼品として、ハチ公生誕100年を記念した限定NFT(デジタルアート)とオリジナル日本酒のセットの提供を開始した。

これはハチ公生誕100年を記念して世界中の秋田犬ファンから募集した記念イラストをNFT化、さらに大館市にある酒蔵・株式会社北鹿の日本酒とコラボして、秋田犬特別ラベルの大吟醸日本酒をNFT とセット提供するというものだ。

イラストについては世界の秋田犬ファンによる応募作品から35作品を採用し、ファン投票1位に輝いた作品を日本酒の記念ラベルとしても採用するとしている。

ほかにも、2023年7月に秋田県内で発生した豪雨災害を支援する「秋田犬NFT 水害復興支援基金」が設立。暗号資産イーサリアムと引き換えにNFT として秋田犬を描いたイラストをNFT 取引プラットフォーム「OpenSea」上で販売。世界各国の秋田犬ファンからの寄付を迅速に集めた。

秋田県の災害支援では、秋田県庁とパートナーシップを締結している株式会社ロクブンノニが「自然災害復興支援NFTプロジェクト」を立ち上げ、合同会社Encrypto や米カリフォルニア州のファッションブランド「A LOVEMOVEMENT」と共同でNFT を販売した。

この自然災害復興支援NFT プロジェクトでは「A LOVE MOVEMENT」代表でロサンゼルスの現代アーティスト大久保鉄三氏とコラボしてオリジナルのNFT イラストをNFT 販売ツール「Manifold(マニフォールド)」で販売。売上金は秋田県と日本赤十字社秋田県支社が募っている「秋田県大雨災害義援金」へ寄付された。

2022年12月に実施された秋田県庁とのオンラインミートアップ以降、地方への貢献活動に向けて動いていたという3社だが、2023年4月にロクブンノ二が秋田県庁から社員のリモートワーク移住を目指して県内でのお試し移住体験などを実施する意向を持つ企業として、「リモートワークで秋田暮らしパートナー企業」に認定されている。

今回の自然災害復興支援NFT プロジェクトでは従来の寄付とは異なり、NFT を活用することで持続的な支援の流れをつくることを目指すとし、二次流通で発生した料金を寄付することで、さらに寄付先に還元することができるという仕組みであるとしている。


NFTを活用したふるさと納税品

由利本荘市は由利高原鉄道株式会社と伊藤忠テクノソリューションズ株式会社とで3者による連携協定を結び、ARアプリを活用した観光地などの魅力発信事業を展開しているほか、NFT を返礼品としたふるさと納税の実証実験を行っている。

具体的には由利本荘市の萌えキャラ「黄桜すいプロジェクト」から、由利高原鉄道の本社がある矢島地域出身の「松皮カンナ」の3Dキャラと写真が撮れるといったAR を活用した地域の魅力発信と、「おばこ号」の3DデータをNFTとして作成、ふるさと納税の返礼品としている。

車両は由利高原鉄道が運行している「おばこ号」の「YRー3000形」をモデルとしており、1両版は赤色の車両、3両セット版は赤青緑の3色の車両を提供されている。寄付金額1万円で赤の1両、同2万5,000円で赤、緑、青の計3両のデータを受け取れる。

ARは伊藤忠テクノソリューションズ株式会社が展開するARアプリ「CLoVAR(クローバー)(β版)」でみることが可能で、ふるさと納税の寄付者については限定版の「松皮カンナ」がみられるほか、実際に運行されている「おばこ号」の車両内でしかみられない限定版の「松皮カンナ」もある。

2023年3月より秋田県と株式会社ゼロニウムは、秋田県への移住促進をテーマとした「あきた移住・交流メタバース万博」を開催・公開した。

このメタバース空間は、リアルに近い展示とコミュニケーションにより、秋田県の魅力を伝えるとともに、移住を検討されている人が自分ならではの移住スタイルをみつけられるイベントで、メタバース空間内では県や市町村の担当者がアバターとして参加し、テキストチャットやボイスチャットで直接交流・相談することができる。

このように、現在秋田県では特産品を始めとするさまざまなIP を有効活用し、地理的条件などに左右されないデジタル技術を活用した地方創生に取り組んでいる。こうした一連の取り組みを通じて、秋田県は県への誘致等を進め、人口減少等の課題解決を加速させていく。


秋田のWeb3.0事業


▶▶自然災害復興支援NFT
売上を「秋田県大雨災害義援金」へ寄付

秋田県庁とパートナーシップを締結している株式会社ロクブンノニが2023年7月に発生した秋田県内の豪雨被害の支援のため、合同会社Encryptoや米カリフォルニア州のファッションブランド「A LOVE MOVEMENT」と共同でオリジナルのNFTイラストを発売した。

導入している企業・団体
『ロクブンノニ』『Encrypto』


▶▶秋田犬NFT×日本酒
秋田県初のふるさと納税NFT返礼品

株式会社Meta Akitaが「秋田犬NFT×日本酒」をコンセプトに2023年1月に秋田県初のふるさと納税NFT返礼品、ハチ公生誕100年を記念した限定NFT(デジタルアート)とオリジナル日本酒のセットの提供を開始した。イラストは応募作品から35作品を採用し、ファン投票1位に輝いた作品を日本酒の記念ラベルとして採用している。

導入している企業・団体
『Meta Akita』『北鹿』


▶▶秋田犬×NFT
100個限定の秋田犬NFTが即日完売

Web3.0×秋田犬をコンセプトに秋田犬を活用した地方創生に取り組んでいる社団法人秋田犬保存会のスピンオフ企業・株式会社Meta Akitaは2022年11月に秋田犬NFTを限定発売、即日完売させている。具体的なユーテリティとして、このNFT保有者は秋田犬保存会博物館に無料で入場できるほか、将来的にはメタバース「Meta Akita」へのパスポートになるとしている。

導入している企業・団体
『Meta Akita』


▶▶あきた移住・交流メタバース万博
2023年9月~12月まで全4回で開催

秋田県と株式会社ゼロニウムは2023年3月より秋田県への移住促進をテーマとした「あきた移住・交流メタバース万博」を開催・公開。一般的なWebブラウザで「秋田犬パビリオン」や「白神山地パビリオン」「なまはげパビリオン」「鳥海山パビリオン」「田沢湖パビリオン」「かまくらパビリオン」などを楽しむことができる。

導入している企業・団体
『ゼロニウム』


▶▶由利高原鉄道NFT
秋田県初の鉄道系NFTのふるさと納税返礼品

由利本荘市と由利高原鉄道株式会社、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社の3者でNFTを返礼品としたふるさと納税の実証実験として、「おばこ号」の3DデータをNFTとして作成、ふるさと納税の返礼品としている。寄付金額1万円で赤の1両、同2万5,000円で赤、緑、青の計3両のデータを受け取れる。

導入している企業・団体
『由利高原鉄道』『伊藤忠テクノソリューションズ』



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